2度目の北海道ツーリング、そしてZZRで初の宿泊ツーリング。すっかり北海道の魅力にとりつかれてしまった私は、この年の全ての予定をこの1点だけに集中して計画。個人的な用事はともかく、仕事との調整は出発直前まで綱渡り的なものだったけど、なんとか世間の夏休み前にまとまった日数を確保することができた。今回は新たな目的地として道北を設定し、さらにカニ道楽という目標をかかげての旅。職場の冷たい視線を感じながら(実はそう気にしてなかったけど:笑)、新たな出会いと感動を求め、いざ、しゅぱ〜つ!
6月28日(金)〜29日(土)
出発の日。午後からお休みを頂戴して一度自宅に戻り、荷物をバイクにくくりつけて、夕方舞鶴へ向けて出発。天気はあいにくの雨模様。別にいいもん、どうせ今日はフェリーに乗るだけなんだから。R175を北上し、一路舞鶴港を目指す。去年と同じ道を走った・・・つもりだったが、なぜか福知山の街で迷ってしまった(笑)。この街の道路標識って不親切なんだよなあ(一度R9に入って鳥取方面へ走らなければならない)。ぢゃあ去年はなぜ迷わなかったんだろう?(笑)。ん〜、考えてみれば不思議だ。ちなみに舞鶴でも港の交差点を通りすぎて、危うく敦賀まで行きそうになった(爆)。走ってる時って何にも考えてないからなあ。まあご愛嬌ってことで。
港についたら乗船手続き。今回も念のため予約しておいたけど、そう多くはなかった。幸い手続き中に雨が止んだので、タラップの前で乗船を待つ。この一時がなんともいえないんですよねえ。今年は自分から前後のライダーに話しかける(2度目にして既にベテランの域か)。どっからですか?どこまで行くの?そんな話してるうちに、同じD3の青カラーに乗ってる人と出会って話がはずむ。奇遇にも目的地は同じ道北らしく、帰りのフェリーの予約日も一緒だった。ぢゃあ途中までご一緒しましょうか。今年も楽しくなりそうです。
翌日、しいて特記事項はありませ〜ん(笑)。ただ去年の反省から、できるだけ昼間寝ずに起きとくよう心がけた。何故って夜眠れなくなるから。けど結局早く寝ようにも、電気着いてる状態ぢゃ眠れないタチなので眠れなかった(TT)。こりゃ明日朝つらいぞぉー。
6月30日(日)
翌日、朝3時に放送で起こされる。ふぁ〜、なまら眠い。まずデッキにあがってお天気確認。どうやら曇ってるみたいだ、しかもバリ寒い。フッフッフ、そんなこともあろうと、今年は冬用セーター持ってきたのだ。早速ジャケットの下に着込んで下船準備。なんて準備がいいんでしょう、私って(実は去年の反省からなんだが)。
船を下りると、D3青君に一時のお別れの挨拶。彼とはまた後、稚内の礼文行フェリー乗場で落ち会うことになってた。ちゃんとフェリー時間に間に合うようにね、と声かけて私から先に出発。一路道北へ向けてR5、R337、そしてR231を北上する。朝早い上に曇ってることもあって、辺りはまだ暗い。そんな中、場所によっては住宅街のようなところを、去年と同じく奇声をあげて走行する(笑)。去年は初めて北海道に来たという興奮と寒さまぎらしだったが、今回は半分意図的にやった(つまり確信犯だ)。でも5分とせず飽きてしまった、というか馬鹿馬鹿しくなった。こんなことしに来たんぢゃないだろっての。北海道の皆さん、迷惑かけてごめんなさい。
それにしてもただ移動するだけの退屈な道だ。海沿いを走ってるんだけど、天気が悪いんで景色もよくない。腹が減ってきたというにどこの店もまだ開いてない(当たり前か)。しょうがないからドンドン先へ進む。ああ、なんか食いてーよー。増毛でやっと釣客相手の店が開いてたんで、そこでパンとコーヒー買って一息。時間はまだ6時半頃です。店の前でしばらく座り込んでたけど、ほとんどライダーさんは走ってきません。おかしいなあ、フェリーに乗ってた連中はどこいったんだろ。
じっとしててもさみしいだけなので再出発。留萌から国道がR232に変わり、同じように海沿いを北上する。なんかどこまで走っても風景がおんなじ。天気さえ良ければ気持ちいいのかもしれんけどなあ。途中、金比羅岬によって休憩したけど、焼尻島はほとんど見えなかった。どっか寄るようなトコはないんかいな、と走ってるうちに天塩に入ってしまい、そのまま道道(オロロンライン)へと突入。もともと車通りが少なかったのにさらに少なくなって、走ってくるのといえば猛スピードのトラックばっかし。ZZRの巨艦でさえすれ違い時には反対車線に吸い込まれそうになる。うえ〜、怖いよー。これは内陸側走った方が良かったかな。今からでも引き返そうか、なんて考えてたら、サロベツ原生花園の看板を発見。おっ、やっと観光できるか、と早速現地へ。
フェリーターミナルには1時前に到着。まだフェリー出発には1時間あります。とりあえず飯でも食おうか、と駐車場に移動したらD3青が止まってるぢゃないですか。あれ、どこで抜かれたんだろ?どこ走ってきたのと聞くと、海沿いがつまらないのでR40を北上してきたとのこと。しかも途中、豊富で温泉にも入ってきたらしい。ムムム、なんか悔しいぞ(笑)。飯ももう食ったとのことなので、1人でさみしく近所の食堂へ。同じところから同じ場所へ来たとゆうに、何となく損した気分・・・いやいや、旅はそれぞれ楽しみ方がある、俺には俺の旅があるぢゃないか、と1人でブツブツ自問自答する(笑)。まあ、済んでしまった事はしょうがないさ、まだ旅は始まったばかりだもんね!(負け惜しみ)。
食事が終わると、出航まで彼と付近をブラブラ。名物の港堤防下テント村には、まだ3つほどしかテントがありませんでした。確かに道北はまだテント泊には寒すぎる感じだなあ。ということはこの人達は筋金入りってことか。とても私には真似できそうにないです。
さて、時間が来たのでいよいよ礼文に向けて出航です。海は多少シケぎみ、イヤな感じだなあ。礼文到着まで時間がかかるので(約2時間)、何気なく景色を眺めてたら、利尻の上にあった雲がどっか行って利尻富士を全部見ることができました。山頂付近には残雪もあるみたいです。なかなか綺麗ですね。これで晴天ならどんなに綺麗なことか。
礼文島香深港には4時ごろ到着。なんかターミナルにいっぱい民宿の呼びこみがきてます。特に宿を決めてる訳ぢゃなかったけど、口車に乗せられてヒョコヒョコついていくのもイヤだったので、その場では無視。彼にどっか行くアテある?と聞いたら、桃岩ユースへ行ってみたいと言う。ああ、あの噂のユースね(笑)。俺はちょっと性格合いそうもないなあ。遠慮しとくよ(笑)。アレコレ考えてても仕方ないので、私は職場の同僚からいいと聞いてた民宿の『なぎさ』へ行くことにし、彼に「ユースでいっぱい楽しんできてね」と告げると、「そんな冷たい事言わないでくださいよ〜」と結局私についてきた(笑)。アハハ、別に冷たくした訳ぢゃないってば。
ターミナルに『なぎさ』の旗持ってた兄ちゃんがいたので、早速場所を聞く。難しい場所でもなかったのでD3青の彼と2人して移動。やあ、目の前に利尻が見えますねえ。なかなかいい場所です、まずは一安心。
まだ時間が早いのでスコトン岬へ行こうということになり、とりあえず荷物置かしてもらって現地へ。天気の方は雨が降ったり止んだりだったけど、荷物降ろした気軽さから深く考えないで向かう。小さな島なのですぐに着いちゃいました。うえ〜、メッチャ寒い!その上風も相当キツくて、ヘルメットも脱がずに周辺をウロチョロ。私達以外は誰もいませんね。こんな天気ぢゃ当たり前か。これ以上じっとしてると凍えちゃうので、来た証拠として記念写真だけでも、とお互い撮りあってると、柵のところに『石を投げないで下さい。民家があります』なんて掲示があった。ウソだろ?と下を覗きこむと、丹下ジムみたいな家(失礼:笑)が、岩の間に隠れるように建ってました。うお、凄え!こんなところに住んでる人がいるよ。高浪の時とか大丈夫なのかなあ。感心するやら心配するやら。
これ以上寒さに耐え切れなくなったので民宿へ戻る。特に部屋など決まってる訳でもなく、居間に座って他のお客さんと雑談しながら夕食を待つ。話してたら、なんと阪急電車の社員が3人も長期宿泊してた。なんで北の果てまで来て地元の人に会うんだよお〜(笑)。阪急にはいとこも高校の同級生も勤めてるから、地元どころかもっと身近な存在。試しに名前出してみたら、当然の如く知っていた。世間って狭いのね(笑)。
夕食終わったら、予想外なことにオリエンテーションが始まった。1人づつ自己紹介し、自分の思ってることとか夢なんかを語り合う。なんかユースみたい。けどこれが結構楽しい。なんだかんだしゃべくってるうちに時間がドンドンたってゆく。
この時に気付いたんだけど、この島に来る人のほとんどは『愛とロマンの8時間コース』をトレッキングするために来てるらしい。存在は知ってたものの、自分がやるなんて考えてもみなかった。当然みんなから誘われたけど、明日の天気や今後の予定を考えると気が進まない。D3青君は参加するらしい。私はしばし悩んだ末、参加しないことにした。ちょっと残念な気もするけれど、無理に今回参加しなくとも、またいつかここへ来ればいい、と考えたから。その日は結局0時頃までみんなと話す。みんないい人達でした。本日の走行距離、442.1km。
7月1日(月)
翌日、朝起きるとトレッキング参加組は出発準備の真っ最中。外をのぞいてみると、今日も天気は悪そうだ。これでみんな行く気なの、チャレンジャーだなあ。怪我をしないよう気をつけて。
さて、私の予定の方なんだけど、今日は利尻島を1周するつもりだったけど、天気を見てあっさり諦めた。こんな天気で走っても楽しくないと思ったから。行けばそれなりに出会いとかあるかもしれないのだけど、贅沢言ってやっぱりこんな綺麗なところはベストの時に訪れてみたい。私はもう一度ここを訪れるために、敢えて宿題を残しておくことに決めた。いつか必ず宿題をやりとげることを心に誓って。
そうと決まれば早速稚内へ移動となるんだけど、フェリーの時間までは少々間がある。ちょっとの時間だけでも観光するかと思って、同じく今日稚内に戻る女の子を後ろに乗っけて桃岩まで行ってみることにした。D3青君、ちょっとメット借りるよ!
女の子にメット被らせて、案内板にしたがって桃岩展望台へ。ZZRの後ろに人乗っけるの初めてだなあ。ちょっと不安だったけど、すぐ近所までだし大丈夫だろう、と思ってたところに心の油断が。まず、峠を越えてもうすぐ桃岩ってところで、駐車場勘違いしてドロンコ水溜りに突っ込んでしまった。Uターンするために1度彼女に降りてもらってバイクを道へ戻し、「もうソコだからここから歩いて行こう」と両手離して振り返った時、彼女はタンデムステップに足をかけ、バイクの片側に思いきり体重が・・・!「おわっ?!」。一瞬の出来事になすすべなく、あわれZZRはガッシャーン!あっちゃあ、やっちゃったよ初ゴケ。しかもメッチャかっこ悪いぢゃん(笑)。必死に謝る彼女に対し、「いいからいいから」と言ったものの、心の中は限りなく白に近いブルー(爆)。おかげで桃岩はどんなところかあんまし覚えてません(笑)。
そろそろ時間なので、荷物をとるため1度民宿へ戻る。彼女は私の顔色を何度も覗きこみ、必要以上に謝ってくる。だからもういいですって、別に貴方に対して怒ってませんから。ただ自分の未熟な腕を嘆いているだけですよ(笑)。民宿のヘルパーの女の子達は「これがきっかけになって、うんタラこうタラ」などと訳のわからないことを言ってはしゃいでます。あんたら若いねえ(笑)。少なくとも私にはそんな気ないよっての。でも力いっぱい否定すると失礼だから(笑)、その場は「そうだよね〜」って適当にあわせてました。
そんなうちにバイクに荷物積み終わって、私は一足先にターミナルへ移動。サッサと乗船手続きを済ませて出航を待ちます。そのうち港に民宿のオーナーと兄ちゃんがやってきました。へえ、見送りなんてしてくれるのか。デッキ越しにいろいろお礼とか話してたら、出航の汽笛が「ボー」。そしたらそれを合図かのように、2人は歌を歌いだしました。「???」あっけにとられる私にかまわず、2人は歌い続けます。そして船が動き出すと一緒に船と歩き出し、しまいには走って船の横を必死についてきました。これにはさすがにちょっと感激。必ずまた来るよー!その時はよろしくねー!
船はその後、利尻島経由で稚内へ到着。稚内では、例の彼女がどうしてもお詫びに昼飯をおごらせて欲しいというので、最初は断ったものの、結局おごっていただきました。彼女とはここでお別れです。ジェアラーさんだそうで、こっから夜行列車で道央へ戻るとのこと。良い旅を!
さてと、私はそろそろ出発するか。ここまで来たら、宗谷岬に行かねば嘘でしょう。R238を通って一路現地へ。なんか無茶苦茶寒いです。セーター着てても効果なし。これはウェアを冬用にするなど、根本的に対策をとらないとどうしようもなさそうだ、それくらい寒い。
宗谷岬に着いたらもっと顕著で、とりあえず最北端の碑の前で記念写真を撮ったものの、それ以上とてもいれたものではない。我慢できずにお土産屋さんに逃げ込む。中はストーブ炊いてました。まさか7月にストーブとは(笑)。
ついでなので土産物をひやかしで見て回る。別に何も買う気なかったけど、ふと貝殻の郵便が目に止まった。「これこのままで送れるの?」「もちろん。貝殻にマジックで直接送り先住所書いてください」。へえ、なかなかおもろいぢゃん。ジョークで家と友達にでも送っとくか。
だいぶ体も暖まってきたので、バイクのところへ戻る。出発準備してたら、ライダーさんに話しかけられた。「寒いですねえ」などとしばし談笑。長話になって体がまた冷えてしまった。イカン、これ以上ここにいると死んでしまいそうだ。気付けば時間はもう3時。そろそろ宿も探さないと。
今度こそ出発って時に、次は車に乗った兄ちゃんに話しかけられた。なんでも今日は中頓別の町営ライダー村の開村日だということで、ぜひ泊まりにきて欲しいという。中頓別ってどこにあるの。ふーん、海沿いから離れるのか。オホーツク海沿いに道東行くつもりだったから、その場は気のない返事で「気が向けばいきますよ」などと適当に答える。実際行く気はほとんどなかったんだけどね。とりあえずチラシをくれたので、タンクバックの中に押し込み、オホーツク沿いに道東へ向かって再出発!ところがこれが最悪。なまら寒い上にオホーツクからの風が極強で、気を抜けばZZRでさえ反対車線に押し出される。こんな道を長時間走れたものではない、ということで浜頓別からR275に入って内陸へ。内陸側に入ったとたん、風もなくなり寒さも和らいだ。ふえ〜、助かった。でもこんな方向へ進んだらいったいどこへ行くんだ?マップを出してルート確認すると、途中に中頓別とあった。どっかで聞いたような・・・。そうか!おい、さっきのチラシはどこいった!?
結局、これも何かの縁と都合よく考え、中頓別町営ライダー村へ行くことにした。しかも今日は開村日で焼肉パーティー無料とある。ラッキー!チラシ捨てなくてよかった。
ライダー村へついたら、すでに15人ほどのライダーさんが集まってました。建物自体は牛小屋に板間をつけたようなもので、利用はタダらしいけど蒲団とかは一切なし。ヘッヘーン、今回はこんなこともあろうかとテントと寝袋持ってきたもんね!バイクも軒の下に入れられて雨にあたらないし、さらに今日はタダ飯にまでありつける。言うこと無しだ!
上機嫌で他のライダーさんと話してたら、なんかスーツ姿の人が2、3人中へ入ってきた。そうか、町営だから町役場の人かな。でも担当の人にしては歳とってそうな。「エー、只今より中頓別町長と商工会会長からご挨拶があります」。ええ〜っ!?これは予想外の事態だ。しかもよく見れば地元のローカル新聞記者までいる。この町にとっては1つの事件なんだ。うわー、田舎だなあ(笑)。しかもこの偉いさん方、こんなむさ苦しい、小汚いライダー達を前にして真面目にお話されてる(爆)。考えてみるほどこの状況がおかしくって、笑いをこらえるのに必死でした。
挨拶終わったら焼肉パーティーの始まり(偉いさん方は帰りました)。アルコールもたっぷり用意されてます。町役場の若い職員さんが2人残っていて、夜遅くまで一緒に話しました。このライダー村は一種の町おこしみたいなもので、中頓別町をアピールすることが目的だそうです。なるほど、確かに私だってこれがなければここに来なかったろうな。田舎は田舎なりに頑張ってるんだね。偶然にもここに立ち寄れて、いろいろ話が聞けておもしろかった。
肉もアルコールも尽きかけた頃、10分ほど離れたところに銭湯があるらしいので、気の合った数人と散歩がてら歩いてって一っ風呂。ホント今日は言うこと無しです。寝袋に包まって、お休みなさい!本日の走行距離、129km。